よく国語力をつけるために本を読めという人がいるが
誤解を恐れずに言えば、それは少し違うのだ。

バットの素振りをイメージしてほしい。
確かに素振りの回数を増やせば、それはそれで意味がある。
でも適切なコーチにアドバイスをもらって練習すれば
少ない回数でも効果的な振り方を習得することができる。
ひたすら素振りをすることで少しずつ自分の方法を見つけることもできるが
それにはかなりのセンスと才能も必要だ。
本を読むという行為もそれに似ている。
読書という一見だれでもできる行為が簡単なものではないことは
苦手な人はより実感していることではないだろうか。
得意なものはバットをボールに当てるように振ることは容易だろうが
私であれば多くの時間を費やすことだろう。

本を読むことの醍醐味は「出会い」を得ることである。
古代の哲学者から現代のアイドルまで
こちらが望めば、みな門戸を広げて膝を突き合わせてくれる。
心の悩みを相談することもできるし、自分の考えと同じだと喜ぶこともある。
知らなかったことを教えてもらえたり、
時にはそれは違うだろうと疑問に思うこともできる。
また、作者の創った世界に降り立つことで
現実とは違う環境や人生までも味わうこともできるのである。
読書は自分の世界に閉じこもることでなく心を開放することなのだ。
そのときの自分に必要な本と出会えたなら人生をも変える。
時空を超えた出会いがそこにある!

国語力をつけるなどという俗な目標など捨てて本気で読書をするならば、
ひょっとすると国語力というおまけもついてくる、そう考えてほしい。