③「率先避難者たれ」

実のところ、三原則で最も心に残ったのはこれであった。
恐らく私が人生においてかなり苦手とすることだからだろう。

私は桜の散る様を潔いと愛でる類の人間である。
勝負は正攻法を好み、人を陥れるなどもってのほか、
卑怯な手を使って勝つくらいなら負ける方がましだ。
よって逃げることも好まず打ちのめされても耐えることを選んできたように思う。

そのために不要なダメージをくらったり
心身を削って満身創痍で日々を過ごすこともある。

もちろん相手が威風堂々としたものならば
圧倒的な力の前に敬意を払って最初から負けを認めることができる。
だが明らかに間違っているのに勝ちを気取られると
こちらも戦わざるをえないと腹をくくってしまう。

しかしながら「逃げるが勝ち」ということばがあるように
人生には逃げることを選択することが結果的によかったと思えることがあるようだ。

まあ何もかもがほどよいバランスで、逃げることしかしないのはこれまた疑問だが
私は自身の信念を曲げたくないために
振り返ってみれば「火中の栗を拾う」ことの多かったこと、
後悔はしていないが愚かだといえばそうかもしれない。

誰かと比較してより早く逃げる者というのではなく
これからは自分の中に「率先避難者」を在住させておこうと思う。

天災に戦いを挑むことが無意味であることはわかっていた。
だが「命を守る」ということだけに焦点を当てれば
天災に限らず何事も戦わずに逃げる(その場から立ち去る)ことのみが正解なのだと
あの防災の日に再認識したしだいである。

耐える価値もない落とし穴ばかりの道ならば
さっさと立ち去り他の道を歩く方が格段に賢明で意味がある。


最近自殺の報道が多い。「率先避難者たれ」